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東亜日報6/8(土)記事「米国防総省、台湾を国家と表記」について

2019-06-11
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米国防総省、台湾を国家と表記[東亜日報6/8]
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米国防総省が最近発表した「インド太平洋戦略報告書」で、台湾を協力すべき対象「国家(country)」と表記した。これは、米国がこれまで認めてきた「一つの中国(one China)」政策から旋回して台湾を事実上、独立国家と認定することであり、中国が最も敏感に考える外交政策の最優先順位に触れ、中国への圧力を最大限引き上げようという狙いがうかがえる。

国防総省は報告書で、「インド太平洋地域の民主主義国家として、シンガポール、台湾、ニュージーランド、モンゴルは信頼でき、能力がある米国のパートナー」とし、「4国は世界で米国のミッション遂行に貢献しており、自由で開かれた国際秩序を守護するために積極的な措置を取っている」と強調した。これらの国は、米国のインド太平洋戦略のパートナー国家として、既存の同盟国家である韓国、日本、オーストラリア、フィリピン、タイに触れ、追加で協力を拡大・強化する対象国として言及された。

米国は1979年、中国との国交を正常化した後、「一つの中国」政策に基づいてこれまで台湾を国家と認定しなかった。その米国が事実上、米国に対抗する公式報告書で台湾を国家と表記したのだ。

香港サウスチャイナ・モーニン・ポストは7日、関連内容を報じ、「米国が一つの中国政策を事実上、廃棄した」と指摘した。同紙は、「これは中国を狙った最近の米国の挑発的な措置の一つ」とし、「米中両国が貿易、セキュリティ、教育、ビザ、技術だけでなく『文明』競争を行う過程でトランプ政権が出した奇襲攻撃」と強調した(以下略)


 赤文字の部分から、「米国防総省が、台湾を国家と表記した!」「台湾を事実上、独立国家と認定した!」と色めき立つ声が上がりましたが、実際は以下の通りです。

結論:トランプ政権が「台湾を事実上、独立国家と認定した」訳ではありません。

この情報の真意は、「米国が台湾を主権国家〈sovereign state〉として認めた」訳ではなく、台湾関係法(Taiwan Relations Act:TRA)に基づいて「台湾を国家に該当する〈当局〉として分類」したということです。これは非常に特殊な取り扱いですが、この扱いをするために米国には台湾関係法があります。

台湾関係法により、米国の台湾の扱いが他国と同じものであったとしても、米国は台湾を国家として承認したことには成りません。

台湾関係法
第四条 B頁(1)合衆国の法律が外国の国、国家、州、政府および類似の存在に言及し、関係する場合は、必ずその条文は台湾を含み、法律は台湾に適用されなければならない。

米国は、台湾関係法に基づき台湾を〈country〉に準じて扱わなければなりません。しかし〈sovereign state(主権国家)〉として扱っているわけではありません。またトランプ政権が台湾を国家承認した訳ではないのは言うまでもありません。

今回の「米国防総省、台湾を国家と表記」とは、台湾関係法 第四条 B頁(1)に基づく通常の措置に過ぎません。


 

 


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