ある女性の死-勇気、決意、そして自己犠牲の精神-

投稿日:2011-05-03 - 投稿者(文責):mumeijin

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 「6メートルの津波が来ます」 最後まで放送の南三陸町職員の死を悼む

   

MSN産経ニュース 5/3(火)

「早く高台に避難してください」-。津波到達の直前まで防災無線で町民に避難を呼びかけ続けた後、行方不明になっていた女性の遺体が発見された。津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町職員、遠藤未希さん(24)。命を救われた町民や避難住民は、最後まで職務を全うした未希さんの死を悼んだ。 未希さんは3月11日、町内の防災対策庁舎で津波到達の直前まで防災無線で、「6メートルの津波が来ます。早く高台に避難してください」と呼び掛け、自らは津波にのみ込まれて行方不明となっていた。


母親の美恵子さん(53)によると、未希さんとみられる遺体は4月23日、捜索隊が志津川湾で発見した。昨年7月に結婚した夫(24)がプレゼントしたミサンガが左足首に巻かれ、右肩にあざがあったことなどを夫が遺体の写真で確認。警察が2日、DNA鑑定で最終的に未希さんと断定した。


 美恵子さんは津波で被災した自宅を片づけながら、「元気な姿で家に帰ってくることはあきらめていました。せめて遺骨をきれいな自宅に迎えたいと思って…」と、涙をこらえながら話した。遺体は町内に安置され、家族が遺体を引き取って火葬する予定。


 未希さんは、昨年4月に危機管理課に配属。夫と石巻市内に住み、南三陸町役場まで通っていた。
町立名足保育園の主任保育士、後藤せい子さん(57)は「約20年前、未希さんが通っていた保育園に勤務していたが、目のクリクリッとしたかわいらしい女の子の印象。役場でも誰にでも明るく気さくに接する、いい娘さんでした。(9月に)結婚式を控えていたのに残念。最後まで自分の職務を全うしようとしたのでしょう」と目を潤ませた。


 未希さんの自宅近くに住む漁業、高橋照男さん(75)は「防災無線を聞いて、すぐ高台に逃げました。職務上の責任を感じ、最後までマイクを握っていたのでしょうが、残念。役場でも対応がやさしく、いい娘さんでした」と話していた。

 津波にのまれた3階建ての防災対策庁舎は現在、骨組みだけが残っている。庁舎に残った約30人の職員のうち、助かったのは10人だけだ。

 佐藤仁町長はほかの職員を気遣い、「今回の震災ではたくさんの町民が亡くなっており、個別的なことについてはコメントは差し控えたい」とした。(石崎慶一)


【中央時評】遠藤未希さんの行方不明
2011.03.17   パク・ヒョジョン・ソウル大教授・倫理教育科

  運命は選択できないが、運命に対する姿勢は選択できる。 自然による大災難の前に茫然自失しながらも、悲しみを胸の奥深くに抑える日本人を見ながら感じることだ。 悲嘆の中でもしっかりと耐える日本人こそ、「アモールファティ(amor fati)」、すなわち「運命を愛する」という、2500年前のストア哲学の神髄を内面化した人たちだという気がする。

  逆境は感動を生むという。 いま多くの感動ストーリーが出てきているが、最近メディアに報道されたある公職者の行方不明は特に心を引きつける。 宮城県南三陸町の町役場危機管理課職員、遠藤未希さん(24)だ。 遠藤さんは津波が押し寄せてくる時、「早く逃げてください。 6メートルの波があります」と最後まで放送を続け、結局、津波にのまれた。 25歳の最も美しい年齢で、住民を救おうとマイクを放さず行方不明になった遠藤さんの哀切な話は、一つの静かな感動だ。

日本が地震による大災難を乗り越えて立ち上がるのは時間の問題だ。 円高が維持されているからでもなく、日本政府が莫大な資金を供給しているからでもない。 混とんの中でも落ち着きと節制を失わない市民の精神が生きていて、住民のためにマイクを最期まで放さない公人精神が残っているということ、これ以上の災難克服意志を示す証拠はない。 遠藤さんの場合、町役場の末端職員などという考えはなく、住民の安全の責任を負った最高の公職者のように行動した。 彼女の行為を見ると、果たして公職者とはどういう存在かと考えさせられる。 国は違うとしても、自分の共同体のために最善を尽くさなければならないという義務感においては何も変わらないからだ。

 韓国社会で公職者になる道は単純だ。 試験でなければ選挙だ。 特に行政試験や9級試験を受ければ公務員になる。 その点では一般企業の入社試験と同じだ。 しかし試験に合格しただけで公人意識を持った公職者と見なすことはできない。 利益を出す企業ではなく市民のために奉仕するという心なく終生職場に入るという求職意識だけで、公職を語ることはできない。 公職には単なる生計を超えた厳粛性がある。 共同体のために最後までは全うするという毅然たる態度が求められる理由だ。


私たちの周辺に果してそんな公職者がいるだろうか。 とりわけ寒かったこの冬、口蹄疫(こうていえき)が流行した時、これを阻止するために昼夜問わず死闘して亡くなった公務員は8人だ。 口蹄疫防疫中に過労で倒れ、二度と起き上がることができなかった彼らこそが、最期まで公人精神を発揮した人たちではないか。


しかし‘上海スキャンダル’を見ると言葉を失う。 果たして彼らに国のために献身するという最低限の公人意識があったのかという疑問のためだ。 もちろん求道者でなく熱い血を持つ男性なら、さまざまな誘惑を避けて通るのは難しいものだ。 しかし領事館はラブストーリーをつくるところでもなく、国がラブストーリーをつくれとそこへ送ったのでもない。 国民と国の利益を守る番人になれというのが任務ではなかったか。 にもかかわらず、国の使命と俸給を受ける彼らが、なぜロミオのように哀切な愛をつくろうとしたのか。 禁じられた愛を交わしたロミオとジュリエットは純愛譜として称賛されるが、禁じられた愛を交わした領事がだらしない人間としてうわさになる理由が気にならないのか。 また単純なラブストーリーを越えて国の機密まで漏らしたいう。どうすれば公職者がここまで落ちぶれることができるのか。


韓国社会で公人意識を持った公職者は天然記念物のように貴重な存在なのか。 行政試験に合格し、エリート意識を持つことが公人意識ではない。 お金の誘惑、愛の誘惑、権力の誘惑を振り払い、国民のために最期の瞬間までマイクを放さない精神があってこそ公人意識だ。 いま津波の中で行方不明になった日本人公職者の姿が目に浮かぶのもこのためだ。 

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11日、遠藤さんは防災対策庁舎二階で午後2時46分から約30分間、防災無線で「高台に避難して下さい」「異常な潮の引き方です。逃げて下さい」などと呼び掛け続け、津波が庁舎に迫ったため放送室を出た後、消息が途絶えていたという。・・・これを美談とするには余りにも痛ましすぎて言葉が見付からない。しかし言おう。
遠藤未希さん、困難な状況の中最後まで見事に職務を遂行されたあなたの御蔭で、多くの人達が命を救われました。本当に有難う御座いました。どうか安らかにお休みくださいませ。



日本赤十字社 「東日本大震災義援金」
http://www.jrc.or.jp/contribution/l3/Vcms3_00002069.html

被災地・被災者の復興までにはこれから長い時間が掛かります。東日本の被災者の苦しみは我等日本人全員の苦しみ。
どうか皆様、被災者支援の為 御協力を宜しくお願い申上げます。僅かな額でもそれが集まれば大きな金額となります

    
河内長野市商工会青年部オフィシャルサイト