台湾(中華民国政府)、西アフリカのサントメ・プリンシペ民主共和国と断交

投稿日:2016-12-21 - 投稿者(文責):mumeijin

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台湾の外交部(外務省)は21日、西アフリカのサントメ・プリンシペとの断交を発表した。中国は同日、断交を歓迎すると表明した。台湾の蔡英文総統とトランプ次期米大統領との電話会談などに中国は反発しており、背後で中国の意向が働いた可能性がある。

中台は国家として正統性を争っており、外国政府は両方を同時に外交承認することはできない。

台湾はサントメ・プリンシペから求められた財務支援を拒み、21日未明に断交を伝えられたという(※1)。台湾の李大維・外交部長(外相)は同日の記者会見で「財務問題を抱えた国につけ込む行為は両岸(中台)関係の助けにならない」とし、中国側が断交に関与したとの見方を示した。

一方、中国外務省の華春瑩副報道局長は21日、「サントメ・プリンシペが(台湾は中国の一部とする)一つの中国の原則という正しい道に戻ってきたことを歓迎する」との談話を発表。中国が同国と国交を樹立するかには触れていない。

今回の断交で台湾を外交承認する国は21カ国に減る。1980年代後半の水準に逆戻りする数で、中国側は台湾の孤立を狙った可能性がある。

中台は政権の正統性をかけ外交関係のある国を奪い合ってきた。中台融和が進んだ馬英九・前政権(2008~16年)時代には小休止していたが、今年5月に台湾独立を志向する民主進歩党(民進党)の蔡政権が発足して以降、中台関係は停滞している(※2)【台北=伊原健作】

日本経済新聞(2016/12/21)「台湾、サントメ・プリンシペと断交 背後に中国?」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H35_R21C16A2EAF000/


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サントメ・プリンシペ民主共和国はアフリカ西部の人口17万人の島嶼国。今回の断交による実質的な影響は殆どないとされ、「中華民国体制」という外来政権を打破し、台湾人自身の台湾共和国建国を主張する台湾独立派・建国派にとり、「正統中国争い」などは台湾と無縁のこととして、ガンビア・イスラム共和国との断交(2013年11月)同様に、ネット上などでは概ね歓迎されている。なおアフリカや太平洋上の島国には、中台からの援助を目的とした国家承認合戦が繰り返されてきたことは留意しておきたい(※3)。


(※1)中央社報道によると、財政難にあえぐサントメ・プリンシペが台湾に対して2億1000万米ドル(約246億9800万円)の支援を求め、台湾がそれを拒絶したことが今回の断交の背景と指摘している。
(※2)12/7、筆者は日本経済新聞社に対し、「日経が記述する『台湾独立』とは、何を意味するのか。台湾がどこの国から独立することを意味するのか?」を質したのだが、日経東京本社の担当者は以下のような説明を行っていた。

日本政府は、台湾を中国の一部と認めている(←事実ではない。日中共同宣言3条において、〝日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場(台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である、という中国の主張)を十分理解し、尊重する→だからといって日本政府はこの中国の主張を承認していない)」

だから台湾独立とは、(台湾の)中華人民共和国からの独立を意味する」。

信じられないことであるが、これがこの担当者に言わせると、日本経済新聞の立場なのだそうだ。
一方この回答を予期していた筆者は、「日本政府が台湾は中華人民共和国国の一部であると承認したことは無い。また台湾独立とは、台湾に存在する中華民国体制(中国体制)というものからの脱却を意味しており、中華人民共和国からの独立を意味してはいないだろう」と横槍を入れたのだが、この日経社員は次の様な説明を行っている。

「日本政府が『中華民国』の呼称を禁止している。そのため日本経済新聞社としても、それに準じて中華民国という国名を報道は出来ない」
民間報道機関が、日本政府の立場にすり寄るというのも唖然とする話ではある。しかしながら終始不機嫌な対応であった日経社員、彼からは真実を追求するジャーナリズム精神の真逆の、役人のごとき事勿精神を強く感じたものであった。

(※3)1975年、サントメ・プリンシペは中華人民共和国(PRC)と国交樹立、1997年には台湾(中華民国政府:ROC)と国交樹立を行い、PRCとは断交。また今回の断交後の12月26日、PRCはサントメ・プリンシペとの国交樹立を発表している


なお来年1月7日~15日、蔡英文総統は、台湾を中国の正統政権「中華民国」とみなし外交関係を結ぶ数少ない国家のうち、中米4カ国のグアテマラ(瓜地馬拉)、ホンジュラス(宏都拉斯)、ニカラグア(尼加拉瓜)、エルサルバドル(薩爾瓦多)を訪問する予定である。
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[参考]中華民国外交部「邦交国」
→サントメ・プリンシペとの断交を受け、台湾を全中国を代表する国家「中華民国」として承認する国は21か国となった。
http://www.mofa.gov.tw/AlliesIndex.aspx?n=0757912EB2F1C601&sms=26470E539B6FA395


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