【11/3(木)】14世ダライ・ラマ法王猊下 来日◇高野山特別法話-高野山講演Ⅱ◇

投稿日:2011-11-03 - 投稿者(文責):mumeijin

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「…日本人は非常に力強い精神力の国民性です。日本人は必ず(地震・津波・原発事故といった困難を)乗り越えると確信しています」ダライ・ラマ法王猊下 11/3(木)御発言

今日の法話の行われたまさに同日、祖国チベットの信教の自由の為にひとりのチベット人尼僧が自らの生命を挺し抗議を行なった。この事を深刻に受け止め行動を起こさなければならない。

【11月4日AFP】中国・四川(Sichuan)省甘孜(Ganzi)チベット族自治州の大武(Dawu)で3日、チベット仏教の尼僧が焼身自殺したと、国営新華社(Xinhua)通信が報じた。四川省では今年3月以降、チベット仏教の僧侶8人、尼僧2人が相次いで焼身自殺を図っており、人権団体によるとうち7人が死亡している。
 人権団体「チベットのための国際キャンペーン(International Campaign for Tibet、ICT)」が確認したところによると、自殺した尼僧は35歳で、信教の自由とチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)の帰還を訴え、体に火をつけたという。
 地元警察はAFPの取材に対し、コメントを拒否した。
 新華社は、警察の初動捜査の結果「過去数か月に起きた一連の焼身自殺と同様、ダライ・ラマ一派による(中国の)分裂を狙った策略だと判明した」との地元当局者の談話を伝えている。

 中国共産党政府による信教の自由に対する重大な侵害行為を世界に知らしめる為に非暴力主義を貫くチベット人が最後に選び決行んだのが焼身自殺なのだ。ここに至るまでに中国共産党政府によるありとあらゆる信じられない様な残虐な拷問・刑罰が行われている事が知られている。中国はチベットの寺院の95%を破壊したといわれており、仏像や仏典・仏具等は破壊や略奪の対象となり僧侶の還俗なども強制されている。
現在チベットで存続されているの寺院の多くは信教の自由が保障されているというアリバイ目的と観光資源の為であり、共産党から認められたごく少数の人達のみが僧院での暮らしを認められているという。また判明しているだけで、チベットには831名が政治犯として拘留されており(2010年12月30日現在)、うち360名が形式的な裁判で有罪判決を受け、12人が終身刑を受け服役中だという。チベットでの民族的、文化的破壊、中国共産党政権の重大な人権侵害行為について我々日本人は関心を持ち、そして個々人が可能なアクションを起こさなければならない。

【重要】
チベット人権民主センター(TCHRD)による年間報告書
『チベットにおける人権の現状』(要約)2010年版

http://www.tibethouse.jp/human_rights/human_rights2010.html

 
 
『希望 チベット亡命50年』
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 発行(2010年6月)より
同書はダライ・ラマ法王台湾事務所が発行した『Tibet Exile 50』の日本語訳でチベット入門書として非常に価値有る文献となっている。
http://www.tibethouse.jp/japan_office/books.html

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高野山特別法話の二日目。前日・前前日にはダライ・ラマ法王猊下による「チベット密教 金剛界曼荼羅灌頂(序会・本会)」が無事に行われたそうです。この儀式は『金剛頂経(金剛界)』と『大日経(胎蔵界)』 の経典を拠り所とする真言宗においてダライラマ法王猊下により、『金剛頂経』に説かれた修業を許可するというものだそうです。
第一部では茂木健一郎氏、ナターリヤ・ポリュリャーフ氏(生物学者)、佐治晴夫氏(物理学者)ら科学者とダライ・ラマ法王猊下との対話。例えば次のような問答がおこなわれました。

Q.佐治晴夫先生
「科学者最大の謎である“人間が意識を持っているという事”について。人間が意識を持つという事は科学者にとり“有ってはならない事”。異常な事ですがこれについてどうして存在するのでしょうか。お考えをお示しください。

A.法王猊下
「なぜ存在するか、人間が意識を持っているのは何故か。仏教的なアプローチでは四つ有ります。①「そのようなものであるから。本来的にそこにあるからです。本質的なものであるから」②「機能に基づく存在」として存在する③「依存関係に基づき存在する。つまり因果の法、ひとつのものが存在するから他のものが存在する。何か存在するから意識が存在する④理由と根拠に基づく存在である」「一般的な考えでは“意識には命在るものに備わっているものではないかというところに落ち着くと思います」

その後、法王猊下による「意識の段階」についての説明が興味深い。

「粗なレベルの意識、すなわち“ここにいる”という様な意識のレベル」の段階

「睡眠中、夢をみているが五感は活動していない」段階では意識はより微細なレベルとなる

全く夢をみないレベルにおいては意識は更なる微細なレベルとなる

死を迎えていないが意識を失う状態

死を迎える状態では粗なレベルの意識は消滅しているが、微細なレベルでは意識がある

ニュージーランドで死を迎えたチベット僧が二週間、臨床的には「死」ではあるが体温は残ったままであった挿話を話され、「脳から切り離された微細なレベルの意識は残っている。微細なレベルの意識が肉体を離れた時、肉体は腐敗していく。知覚出来ず科学者が未だつかんでいない精神的な存在がある。測定では無理ではあるが体験を通じてのみの存在がある。仏教には科学・宗教・哲学の三つの側面がある。宗教には科学の面があり、科学には哲学や宗教的な面があり対立項ではない。

≪印象的なお話≫

〇法王猊下「仏陀は、自分の言葉を弟子に対して盲信せよ、とはお話になられなかった。仏陀はむしろ“自分の言うことを鵜呑みにしてはならない、自分自身で探求しなければならない”する事の重要性を説かれていた。そういう意味において仏陀は一人の科学者だったのです」

〇法王猊下「正直に話しますとチベットでも仏教の儀式的な面のみに力を入れ仏教の意味をあまり知らない人がいる。大きな仏像やお寺を建てる事は功徳を積む事であるが、最も良い行いは仏法を学び実践することが大切であり、仏典の教えと実践で初めて意味のあるものと思う」

〇奥山直司 高野山大学教授 「唐に渡った日本の留学僧が宮廷で吐蕃(旧チベット帝国)の使節団を目撃したという記録がある…。1890年頃日本の仏教界にチベットブームともいえる潮流が起き、その中でも堺の河口慧海が日本人として初入蔵した。(法王猊下はここで「うんうん、カワグチエカイ!彼の写真を何度も観ました」、また先代13世ダライ・ラマ法王に可愛がられた西本願寺・多田等観の名前を奥山教授が言及された時も「ホンガンジ!」「タダトウカン!」)と呟かれ非常に興味深く感じられておられたようです。

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朝7時から夜10時までをかけて製作されたという砂曼荼羅。閉会後特別に撮影の許可を頂きました。本来であれば砂曼荼羅は最後に破壊するのですが、今回は特別に保存をされるそうです。

14世ダライ・ラマ法王猊下は翌4日(金)、高野山を後にして東北の被災地に向かわれたそうです。

河内長野市商工会青年部オフィシャルサイト