「日本人よ覚醒せよ!」-台灣多桑(トウサン)世代の想い-

投稿日:2011-01-29 - 投稿者(文責):mumeijin

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 本日、12月18日に引き続き台湾研究フォーラム関西主催の「第16回 日本と台湾を考える集い」に出席致しました。今回の集いは1月27日(木)産経新聞朝刊に告知されておりました。

 今年の台北は例年になく寒冷な冬を迎えているそうで、蔣介石の士林官邸で降雪があったそうです。今月2日共同通信が蔣介石と宋美齢が住居として使用していた台北市の士林官邸本館が1月2日から一般開放された、と 報道した記事を思い出します。平野部で降雪が有ったという事、まさに『台北に舞う雪』ですね。 

講師はノンフィクション作家の平野久美子先生。人間の善性を描く硬派な作風同様、凜の人


平野先生は日露戦争直後、帝政ロシアの圧政下で生きる一人のリトアニア人青年(ステポナス・カイリース)が著した日本論を紹介し評判となっている『坂の上のヤポーニア』産經新聞出版 の著者です。平野さんのお話では『坂の上のヤポーニア』は台灣との出会いがあって初めて書く事が出来た作品であったそうです。また同時に台灣の事を考えながら執筆なさっていたそうです。
2300万台灣人の多桑世代はおよそ5%位ではないかという事ですが、その定義は①日本語を語る能力があり②日本の教育を受けていて③勤勉・誠実といった公徳心を持つ日本精神の体現者である事、と説明されておられました。この三点を見事に兼ね備えられている日本語世代の台灣人には「日本人以上に日本人らしい立派な方がいる」とも。
平野久美子さんはその様な多桑世代の台灣人と、最初に出会ったさいに驚かれたそうです。御自身の父親にそっくりだ!と。

 1987年、38年間の戒厳令が解除され、李登輝氏の登場と共にそれまで中国国民党の前で沈黙を強いられていた日本語世代の方々が堰を切るように日本統治時代を語り始めたという。そして現在の日本人に対し口を酸っぱくして語るのが、

日本人よ覚醒せよ(目を覚ませ)!
台灣と中国は違うのですよ。
日本の伝統文化を蔑ろにしてはいけません。 
 
 参加者はおおよそ50人位でしょうか。     お愉しみの台灣グッズ抽選会の品々

【関連動画として】
平成19年8月13日(月)フジテレビが放送した『あいのり』という番組の中のひとこま。
http://www.youtube.com/watch?v=gwPwOrmdlMs
日本語世代の女性の「みんな日本を慕っていますよ(3:39~」という言葉に相好を崩す日本人の若者の姿が非常に印象的で、その後のやりとりも非常に感動的だ。なお今回の講演で平野先生はひと言、平成21年4月5日に放送された「JAPANデビュー 第一回 アジアの“一等国”」で「反日台灣」を喧伝したNHKの恣意的な番組制作の姿勢に疑問を呈しておられました。

【動画の注意点】
本編中
第二次世界大戦に敗れた日本は再び台灣を今の中国へと返還。(略)1971年に国連が大陸中国の加盟を承認し、アメリカや日本も賛成。これに納得のいかない台湾は…国連から脱退。この時以来台灣は国際的には中国の一地方として位置づけられてしまった。という下線部分は事実誤認であり日本はサンフランシスコ平和条約で台灣主権を放棄したが、その帰属先を「中国」とした事実は無く帰属先は「中国」ではなく「未定」である。

  
署名入りの『坂の上のヤポーニア』と台湾グッズ抽選会で戴いた台湾手帳。いつも台灣グッズの抽選会は愉しみにしています。台灣研究フォーラム関西のスタッフの皆様、有難う御座います。

【平野久美子先生 主要著作】
〇『淡淡有情-日本人より日本人の物語』小学館(第六回小学館ノンフィクション大賞)
〇『高松宮同妃両殿下のグランドハネムーン』中央公論社
〇『トオサンの桜-散りゆく台湾の中の日本』小学館
〇『水の奇跡を呼んだ男-日本初の環境型ダムを台湾につくった鳥居信平』産經新聞出版

平野久美子先生 HP http://www.hilanokumiko.jp/index.html

 

だと言う事だそうです。1935年に10歳であった台灣人は今年85歳となります。自らを今も日本人であると公言する多桑世代はいずれ台灣からいなくなります。戦後台灣を冷淡に見捨てた日本。多桑世代は愛憎半ばする日本への感情の中で、かつての日本人の美徳というものを公平に評価されておられます。しかし今の日本人をみてどの様な想いでおられるのか。
平野先生もそうでしたが、日本人が台灣の多桑世代の存在を知って話題にする際、我々日本人は慟哭に近い感情に襲われる。そしてこの名状し難い感情の源泉をうまく表現する言葉をいまの日本人は持てないでいる。 平野先生はこうも仰られました。台灣の多桑にお会いした時にはこの様にお伝え下さい「御苦労様でした、有難う御座います。これからもどうぞ宜しく」と。


 

河内長野市商工会青年部オフィシャルサイト