『まいにち中国語』4月号に不適切表記-台湾を中国の一部と誤認させる表現は厳禁だ-

投稿日:2011-04-03 - 投稿者(文責):mumeijin

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おや?と違和感を感じられた方も多いと思う
NHKラジオテキスト『まいにち中国語』平成23年4月号、66頁


台湾と中華人民共和国を指す際に「両岸」や「中・台両岸」と呼称する事はまだ理解出来る。だがこのテキストの様に台湾と中華人民共和国を指してあからさまに「中国両岸」と表記するケースも稀有なことではないか。

この表現方法ではP66本文中の「香港を含む中国本土」と「中華人民共和国(中国)の一地域としての台湾」、もしくは「香港を含む中国本土(中華人民共和国)」と「中華民国」の様な関係を連想させてしまうからである。もちろん中国共産党が中華民国の存在を認めることはあり得ない。これは日本政府としても同じである。ましてや中国共産党は「台湾は中国の一部」というのが一貫した立場なのである。まさかNHKは「二つの中国」を容認していたのか?

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「中国本土」という言葉と「台湾」を併記する際には注意が必要である。「台湾は中国の一部である」という中国共産党の長期間にわたる政治宣伝の前には、香港やマカオと同様、台湾が中国の一部地域であるかのような意味合いを持たせてしまう危険性が有る。残念ながら日本人には中国と台湾の位置付けをいまだに明確に区別出来ていない者が多い。長きにわたる中国共産党の宣伝工作の結果と考えて良い。だがNHK『まいにち中国語』の監修者がそれらの事を知らないとは考えられない。

1949年の中華人民共和国建国後も、中国共産党が国際社会で一貫して正当化を目論む台湾侵略の企てを阻止する為にも「中国両岸」や「中国本土と台湾」という様な無警戒な表現は慎むべきなのである。中国共産党一党独裁政府による1949(昭和24)年の東トルキスタン併呑、1959(昭和34)年のチベット侵略、1966(昭和41)年以降10年間猛威振るった内モンゴル人民革命党粛清事件と同様の留まるところを知らない中国の覇権主義の悲願が“同胞台湾の解放”なのである。これ台湾に対する武力行使をも容認する中国の反国家分裂法にも規定された彼らの願望そのものでもある。

↓この記述方法ではまるで台湾が中国の一部と見做されてしまう。「中国両岸」という表現にほくそ笑むのは中国共産党である。無論台湾は一度として中華人民共和国の領土となった事などない。それでは一番適切な表現方法は何かというと、簡単なことで「中国」と「台湾」とを明確に区別する事である。「台湾の国際法上の地位は現在も未定」これが国際社会での総意であることは知られている(ROC政府、PRC政府は当然反対)。そして中台表記を一番嫌うであろうのが同じく中国共産党であろう。


 


上記の「中国両岸」グラフの典拠となったものが、
外務省『海外在留邦人数調査統計』(平成22年速報版)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/10/pdfs/1.pdf
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 「台湾」と「中華人民共和国」との間に「大韓民国」の情報欄があり、これにより台湾と中華人民共和国が明確に区別されている。外務省は適切な表記を行っているのだ。ならばなぜNHKはこの様な表現を行ったのだ?


⇒ここに参考として反国家分裂法全文を掲載する。10条の条文から構成される短いものなので一読を。「反国家分裂法全文」は中国共産党による台湾併呑正当化の根拠となる中国国内法である。反国家分裂法からは中国共産党の台湾併呑への強い意志を読み取る事が出来る。なお条文にある「台独」とは「台湾独立」の事を指す。

【反国家分裂法】

 第10期全国人民代表大会(全人代)第3回会議で2005年3月14日、「反国家分裂法」が採択された。胡錦濤国家主席は同日、「中華人民共和国主席令第34号」に署名し、同法を公布した。同法は同日から施行される。全文は以下の通り。

【第1条】
「台独」分裂勢力(「台湾独立」をめざす分裂勢力)が国家を分裂させるのに反対し、これを阻止し、祖国平和統一を促進し、台湾海峡地域の平和・安定を守り、国家の主権および領土保全を守り、中華民族の根本的利益を守るため、憲法に基づいて、この法律を制定する。

【第2条】
世界に中国は一つしかなく、大陸と台湾は同じ一つの中国に属しており、中国の主権および領土保全を分割することは許されない。国家の主権および領土保全を守ることは、台湾同胞を含む全中国人民の共同の義務である。

台湾は中国の一部である。国は「台独」分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式で台湾を中国から切り離すことも絶対に許さない。

【第3条】
台湾問題は中国の内戦によって残された問題である。
台湾問題を解決し、祖国の統一を実現することは、中国の内部問題であり、いかなる外国勢力の干渉も受けない。

【第4条】
祖国統一の大業を達成することは、台湾同胞を含む全中国人民の神聖な責務である。

【第5条】
一つの中国の原則を堅持することは、祖国平和統一実現の基礎である。

祖国統一の平和的方式による実現は、台湾海峡両岸同胞の根本的利益に最も合致する。国は最大の誠意をもち、最大の努力を払って、平和統一を実現する。

国家の平和統一後、台湾は大陸と異なる制度をとり、高度の自治を行うことができる。

【第6条】
国は次の各号に掲げる措置を講じて、台湾海峡地域の平和・安定を守り、両岸関係を発展させる。

 1.両岸の人的往来を奨励、推進し、理解を増進し、相互信頼を強める。

 2.両岸の経済交流と協力を奨励、推進し直接通信・通航・通商によって、両岸の経済関係を密接にし、相互利益・互恵をはかる。

 3.両岸の教育、科学技術、文化、衛生、スポーツ交流を奨励、推進し、中華文化の優れた伝統を共同で発揚する。

 4.両岸の犯罪共同取り締まりを奨励し、推進する。

 5.台湾海峡地域の平和・安定の維持および両岸関係の発展に有益なその他の活動を奨励し、推進する。

   国は法によって台湾同胞の権利および利益を保護する。

【第7条】
 国は台湾海峡両岸の平等な話し合いと交渉によって、平和統一を実現することを主張する。話し合いと交渉はしかるべき段取りを追い、いくつかの段階に分けて行うことができ、方式は柔軟多様であってよい。

 台湾海峡両岸は次の各号に掲げる事項について話し合いと交渉を行うことができる。

 1.両岸の敵対状態を正式に終結させること

 2.両岸関係を発展させる計画

 3.平和統一の段取りと進め方

 4.台湾当局の政治的地位

 5.その地位にふさわしい台湾地区の国際的な活動空間

 6.平和統一に関連するその他のあらゆる問題

【第8条】
「台独」分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式であれ台湾を中国から切り離す事実をつくり、台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生し、または平和統一の可能性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守ることができる。

 前項の規定によって非平和的方式その他必要な措置を講じるときは、国務院、中央軍事委員会がそれを決定し、実施に移すとともに、遅滞なく全国人民代表大会常務委員会に報告する。

【第9条】
この法律の規定によって非平和的方式その他必要な措置を講じかつ実施に移す際、国は最大の可能性を尽くして台湾の民間人および台湾にいる外国人の生命・財産その他の正当な権益を保護し、損失を減らすようにする。同時に、国は中国の他の地区における台湾同胞の権益と利益を法によって保護する。

【第10条】
この法律は公布の日から施行する。


この度の震災に於いても中国共産党は、機会を捉えては宣伝工作に余念がない。

【新華社速報】
中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の範麗青報道官は国務院が開催する16日の定例会見で、東日本大震災について「日本に住む台湾同胞が求めるいかなる求めに全力で支援を提供する」と述べた。3月16日(水)11時44分配信

今後も、日台両国民は連携して中国共産党の「台湾は中国の一部である」という政治宣伝に対し対抗する必要がある。

中国共産党の嘘に騙されてはいけない。

事実はひとつだ。1945年の日本敗戦で連合国の代理占領軍として中国国民党軍が台湾に進駐、1949年以降は国共内戦で敗北、崩壊した中華民国の継承政治当局(蔣氏政府)が台湾をそのまま不法に実効支配していたにすぎない。なお中国の正統政権を主張する二つの勢力の狭間で、「日華断交」以前に日本政府が台湾の中国国民党政府を承認し続ける根拠とする次のような話がある。

昭和39年(1964)2月、衆議院予算委員会において。
岡田春夫日本社会党議員の「蔣介石政権は亡命政権であるのに、なぜ中華人民共和国を承認しないのか」という趣旨の質問に対する当時の池田隼人首相の答えは「蔣政権は金門、馬祖以外に施政権がない」「台湾政府というものは金門、馬祖にはまだある」として、台湾の「中華民国」が事実上亡命政府であることを認めている。

なお当時の日本社会党は「台湾、澎湖諸島は、中国の不可分の領土の一部」であり「台湾を含めた全中国とその人民を代表する唯一、正統政府は中華人民共和国政府」とし「台湾帰属未画定論」は「二つの中国を認める危険な考えであり、絶対に認められない」としている。中国共産党の代弁者としては充分であろう。
いうまでもなく中華人民共和国は“台湾問題”において部外国である。そのような政治的主張をしているだけ、である。この事実に基づいて堂々と声を挙げよう。

「台湾は台湾だ。中国の一部では決してない
(Taiwan is Taiwan. Taiwan is not a part of China)」

この事実に反し、中国の政治宣伝に加担する日本国内の媒体(メディア)を監視するべきである。恐らく今回のNHKの台湾に対する表記方法もアクシデントではないだろう。 


『咱是台灣人 不是中国人私達は台灣人だ。中国人ではない)

2010年4月23日、台北市の在台米国協会(AIT)前で撮影/台湾人は中国人に間違えられる事、ましてや中国共産党から中国人と見做される様な「台湾同胞」と呼称される事を嫌う。それは我々日本国民が海外で中国人と間違えられたくないだろう事と同じだ。



河内長野市商工会青年部オフィシャルサイト